県議会_平成29年

平成29年9月14日 代表質問

平成29年9月議会代表質問創生奈良答弁

1 公平、公正な税務行政の推進について

 

問:税務行政については、納税者の意識も時代とともに変化し、より厳しくなっているように思うが、県として、公平、公正な税務行政を推進するため、県民に対して納税意欲を向上させる取組をどのように進めているのか。

また、滞納となった場合、どのように税の徴収を行っているのか。

答:(知 事)納税の位置づけにつきまして、議員のご所見のとおりだというふうに思います。税は県民生活に欠かせない、公共サービスを賄うための貴重な財源でございます。このような税の意義について、県民の方々にご理解をいただき、納税意欲を向上させるために、税を考えるシンポジウム、自動車税や地方消費税のイベント、県政出前トークなど機会をとらえ、啓発をさせていただいております。

また、次代を担う児童・生徒に対しても、税の役割を正しく認識してもらうため、租税教室の開催や税に関する作文の募集などを行ってきております。

 

一方で、納税の利便性を高めるため、クレジットカード納付やコンビニ納付、インターネットやATMで県税を納付できるマルチペイメントといった多様な納税手段を用意しております。

 

このような取組により、現年分の徴収率は99.4%まで上昇しておりますが、一方で多額の滞納が発生していることも事実です。滞納を放置しておくことは納税者の信頼を失いかねないため、県は滞納者に対して毅然とした措置をとり、納税秩序を守る取組を継続しています。

 

特に、県税滞納額の約6割を占める個人県民税は、賦課徴収の権限が市町村にあることから、平成24年度に各県税事務所に地方税滞納整理課を設置するとともに地方税滞納整理本部を立ち上げ、市町村への徴収支援を行ってきました。具体的には、市町村職員と一緒に滞納整理を行うため、県職員を常駐あるいは随時に派遣をしております。常駐派遣先は、平成24年度以降、延べ14自治体となり、今年度は、大和郡山市と御所市に派遣をしております。

また、市町村からの徴収事務の相談や差押え不動産の合同公売も行ってきております。市町村では地元の方から滞納があった場合の滞納処分がしにくいといった、顔見知りの人からは税金を徴収しにくいといった単なる風習でございますが、そのようなこともあると聞いておりますので、そのような関係の市町村に対しては、県がむしろ前に立って徴収の労をとろうといった試みでございます。

この結果、個人県民税の滞納額は、平成24年度に約30億円ございましたが、4年後の28年度には、約18億円にまで圧縮することができました。

 

さらに、資力がありながら再三の催告に応じない悪質な滞納者に対しましては、預金や給与などの金銭債権だけでなく、住居・事務所への捜索も実施し、換価価値のある動産や自動車の差押も行ってきております。

引き続き、納期内に納税いただけるよう、啓発等に取り組むとともに、滞納に対しては、毅然とした対応で挑み、信頼される税務行政を推進していきたいと考えております。

2 奈良モデルの推進について

 

問:今後、各種行政課題に対応していくためにも、更なる連携・協働の取組が市町村において加速化していくと考えるが、県では、「奈良モデル」について、これまでの成果を踏まえ、今後どのように進めて行こうとしているのか、知事の所見を伺いたい。

 

答:(知 事)県では、人口減少社会を見据え、地域の活力の維持向上や持続可能で効率的な行財政運営を目指し、市町村同士または奈良県と市町村の連携・協働のしくみである「奈良モデル」を推進してまいりました。

昨年度に、地方行財政分野の有識者4名の協力を得て、これまでの「奈良モデル」の取組成果の検証を行うとともに、「奈良モデル」を一層深化させることをめざして、検討委員会を設置し、その検討結果を報告書に取りまとめたところです。

報告書においては、「県域水道ファシリティマネジメント」、「まちづくり」、「社会保障分野」について、今後、県が一層積極的な役割を果たすことが必要との方向性が示されたところです。この3分野については、これまでの成果を踏まえ、一層の連携・推進を図ってまいります。

 

加えて、市町村が質の高い行政サービスを維持するためには、効率化に向けた一層の取組が必要とされています。具体的には、複数の市町村による事務・行政サービスの共同アウトソースを推進し、スケールメリットを活かした経費削減を一層、進めるとともに、県域全体で、人材の育成・確保を進めることで、市町村が持続可能で効率的な事務・行政サービスを確保できることが必要です。

共同アウトソースの分野では、「納税促進コールセンター」や「自治体クラウド」の取組をすれば、参加市町村の行政コストが大きく削減される効果が発生するなどのメリットを、きめ細やかに情報提供し、新たに参画する団体を募るなど、引き続き、参加拡大に向けた取組を進めたいと思います。

更に、窓口業務などの定型的業務や庶務的業務、また公共施設の管理運営業務についても、共同アウトソースできないか、効果検証に取り組むとともに、共同アウトソースの受け皿確保の観点から、地方独立行政法人が設置管理できる施設の拡大や、公立幼稚園の民間事業者への管理・運営委託に向けた取組も、検討を進めたいと思います。公立幼稚園については、市町村の関心の深い分野だと思います。

 

今後とも、自立心を持って創意工夫し、がんばる市町村を下支えするため、市町村が単独で行うのが困難な分野について、支援や市町村間の連携への調整を行うとともに、市町村の独自のアイデアを尊重しつつ、各市町村への情報提供や普及・推進のための支援を行うなど、サッカーでいうところのミッドフィルダーとして、国と市町村との間に立ち、自ら構想し、よく考え、よく走り、国からのボールを足元でコントロールしながら、市町村へうまくパスするよいミッドフィルターとしての役割を果たしてまいりたいと考えています。

 

3 少子化対策の強化について

 

問:少子化を改善するためには、結婚や子育てに関する希望の実現を阻んでいる要因を一つ一つ取り除いていく対策を講じていくことが必要であると考えるが、県では、現在、どのように少子化対策を強化しているのか。

 

答:(知 事)少子化対策は、議員お述べのように、我が国の大きな課題となってきていることはよく認識しています。本県では、少子化の要因の一つである未婚化・晩婚化が全国に比べ、より顕著になっています。これは、県内での女性や若者の就業の場が少なく、県外就業率が高いといった数字で表れており、本県の産業構造の実態が影響していると考えられます。

 

この産業構造の改革には時間を要すると考えられますが、それを待ってはいられない実情にあります。

一方で、結婚応援活動や安心して子育てができる雰囲気づくりなどのポピュレーションアプローチと呼ばれる対策も重要と認識しています。

議員お述べの「あたたかなおせっかい」活動につながる可能性がある分野だと思っています。

 

そこで、結婚応援活動に関して、今年度県では、結婚を応援する目的を共有するNPO法人や民間企業とのネットワークを作り、婚活の場を増やすとともに、結婚応援活動に参加する人を増やす取組を実施しています。

町の仲人さんからNPO仲人さんへ変身をはかる時代になってきているようにも思います。

具体的取組としては、官民による「結婚応援ネットワーク会議」などの体制整備のほか、県が音頭を取り、婚活イベントの集中開催を、奈良での婚活を意味する「Nara婚」と銘打って、民間団体等とともに実施しています。

今後は、「結婚応援セミナー」の開催などを通して、企業経営者などに対し、結婚応援の意識醸成も図って参ります。

 

また、奈良で安心して子育てができるようにするためには、「地域の子育て力」を強化させ、子育ての孤立感・負担感を軽減させる環境を県と市町村が意識を共有し、作っていくことが重要だと考えています。

具体的には、子育て家庭への訪問などに子育ての専門職員だけでなく、地域の多様な人材に参加していただき、子育て家庭と地域の人々が「子育てでつながる」そのような地域を増やして行きたいと考えており、県としては、子育て応援マインドの醸成のためのセミナーなどを実施していきます。

以上のような取組を進めることにより、本県の若者の結婚や子育ての意識を高め、 おせっかい県庁に多少でも近づくよう努力し、少子化の改善につながるよう努めて参ります。

4 民泊サービスの推進について

 

問:民泊サービスは、良好な住環境の悪化を招く恐れがあるものの、一方で宿泊施設数の増加に繋がる可能性が大いにあると期待している。今後、「住宅宿泊事業法」の制定を受けて、県では、民泊サービスの推進にどのように取り組んで行くのか、知事の考えを伺いたい。

 

答:(知 事)議員お述べのとおり、本年6月に「住宅宿泊事業法」において、民泊サービスが位置づけられました。

 

民泊サービスは、日本での日常生活体験や手頃な価格での滞在を期待する外国人観光客の受け皿となるなど、多様化するニーズに対応する新たな宿泊形態として、客室数が少ない本県にとっても観光客の選択肢を広げるものと積極的な評価をしております。

 

一方で、民泊サービスの品質を確保することも重要な地域の課題です。「住宅宿泊事業法」において、住宅宿泊事業者に対して、宿泊者への騒音防止の注意喚起、苦情への対応など民泊サービスの適正な遂行のための措置が義務付けられております。その措置が着実に履行されるよう監督することが都道府県と保健所設置市、本県においては奈良市の役割となっております。従って、本県においては、奈良市の民泊サービスの監督責任は奈良市の権限となりますが、その他の地域の監督責任は県が負うこととなります。

 

また、「住宅宿泊事業法」の規定に基づき、年度内に県及び保健所設置市である奈良市を窓口として、民泊サービスの届出手続が開始される予定でございます。その際に、騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため、県と奈良市がそれぞれ区域を定めた上で、法律により最大180日とされている民泊サービスを実施する期間を条例により短縮できることとされています。県の責任に係る条例の制定については、住環境の保全と観光客の多様なニーズの調和を図るよう、本県の地域特性とともに県条例対象の市町村の意向も踏まえたうえで、12月議会の上程と3月施行を目途に検討していきます。

 

 

 

5 スポーツに親しめる環境づくりについて

 

問:東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、全国的にスポーツに関する関心が高まりつつある中、県においても今年度、スポーツ推進計画の見直しに取り組んでいるが、ソフト・ハードの両面から、多くの県民がスポーツに親しめる環境づくりをより一層進めるべきと考える。このことについて、知事の所見を伺いたい。

 

答:(知 事)スポーツは、「する・観る」のほかに、ボランティアなど「支える」ことを通して、感動や楽しみを生み出し、県民が健康で活き活きと暮らすうえで必要かつ重要な分野です。地域の活性化や協働・連帯感の強化にも寄与するものと考えています。

 

スポーツと出会い、楽しむ機会を創出するためには、子どもや子育て中の女性、働く世代の方々、高齢者などが、それぞれの生活スタイルに応じて、身近な地域でいつでもスポーツができるよう、市町村、学校、スポーツ団体、企業、地域など多様な主体と連携・協働して、取り組むことが重要と考えています。

 

県ではこの取組を進めるものとして、地域の皆様が運営する総合型地域スポーツクラブの育成に積極的に取り組んでおり、現在、64のクラブが活動しているところです。このクラブ数の拡大を図るとともに、個々のクオリティーを高めるため、アドバイザーを派遣して、運営面での指導や学校、指導者等とのマッチングなどの支援を行っています。今後は、学校のスポーツ施設をクラブが利活用するとともに、部活動の指導を行うなど、各学校が地域スポーツの拠点の一つとなるような仕組みも構築していきたいと考えています。

 

また、スポーツをしたいと思える“きっかけ”づくりも大切だと思っています。県内各地でスポーツイベントを計画的に開催することも大事であり、その情報がよく知られるようになることも大事だと考えています。8月26日に橿原公苑陸上競技場で「リレーフェスティバル」を開催しましたが、百メートル最初の9秒台走者となった、桐生選手をはじめ、7名のトップアスリートに参加いただき、子ども達に夢と希望を与えてもらいました。また、かつては、オリンピック選手を奈良に招き、卓球やバドミントンなどの交流も行ったことがあります。トップアスリートとの交流により、子どもたちがスポーツをしたいと思えるきっかけになることは間違いないと思います。

 

次に、スポーツ推進の受け皿となる施設の整備・充実についても大事と考えています。民間のノウハウや資金を活用したPFI手法による「スイムピア奈良」や、旧志貴高校跡地でのフットボールセンターなど先行事例がありますが、その実績の評価、県と市町村等の連携・協働によるファシリティマネジメントの観点などを考慮しながら、今年度の「奈良県スポーツ推進計画」見直しの中で、中長期的な視点でスポーツ施設の整備・運営計画を策定したいと考えています。

6 県庁でのテレワーク導入について

 

問:県庁におけるテレワークの試行はどのような状況か。また、今後のテレワーク導入に対してどのように考えているのか。

 

答:(知 事)本県では、最大の経営資源である「人材(ヒト)」をどのように活かすのか、という課題に取り組んでおります。職員の人材育成や組織運営を活性化させるために、平成26年度から、人事管理全般について「新たなパーソネルマネジメント」(PM)として研究及び実践に取り組んでおります。平成28年度末には、『奈良県行政経営改革推進プログラム』の中に「パーソネルマネジメントの基本方針」を盛り込みました。5つの観点がございます。①定員管理、②給与、③服務規律、④人材の確保・育成、⑤働き方改革の5つの観点からの取組でございます。

 

テレワークは、この5つ目の働き方改革の一環として取り組んでおります。ICTを活用することで場所にとらわれずに働くことを可能にし、職員の多様な働き方をサポートしようとするものでございます。本県では、他府県の取組を参考に、今年7月からサテライトオフィス勤務とモバイルワークを試行的に実施をしております。

 

サテライトオフィスと申しますのは、県庁舎が奈良市にあることから、中南和地域の橿原総合庁舎に県庁舎と同様のオフィス環境を整え、職員の移動や通勤に係る時間を短縮することで、業務の効率化や育児・介護を抱える職員のワーク・ライフ・バランスの改善を図るものでございます。介護を要する親御さんが南和におられて、家をあまり離れにくい職員については、移動時間の節約の観点から、主に橿原総合庁舎に勤務することをお薦めしているところでございます。9月11日までに、橿原市周辺に住んでいる職員を中心にのべ19回の利用がありました。利用した職員からは、「県内市町村への出張とサテライトオフィスでの業務を組み合わせることで移動時間の短縮ができた」、また、「通勤時間の短縮により育児等の充実を図れた」という声もございました。

 

モバイルワークというテレワークですが、県のサーバに接続可能な端末を16台導入し、職員が出張先や移動時間など、様々な場面で利用するように試みております。職員からは、「出張先や移動中の空き時間に議事録や復命書を作成でき、職場に持ち帰って業務をする時間を減らせた」、また、「効果的なプレゼンができ、タイムリーに情報提供ができた」などの意見があり、業務の効率化を図れた面もあろうかと思います。

 

まだ、海のものとも山のものとも分からないといった要素もありますが、このように試行して2か月で、導入による効果はありそうな職員の感触も出てきているところです。今後は、取組による効果をさらに検証し、サテライトオフィスの拠点の拡大やモバイル端末の増設を検討したいと思います。職員にもテレワークのメリットを周知して、さらなる利用拡大につながるよう、図ってまいりたいと考えております。

 

 

7 京奈和自動車道御所南インターチェンジから五條北インターチェンジ間の供用開始に伴う交通安全対策について

 

問:京奈和自動車道御所南インターチェンジから五條北インターチェンジ間の供用開始から、ちょうど本日で1ヶ月を迎えるが、開通にあたり、県警察において事故防止のため、どのような対策を取られたのか。

また、これまでの開通区間における交通事故の発生状況、及びそれを踏まえて今後どのような対策を取ろうとしているのか、あわせて伺いたい。

 

答:(警察本部長)議員ご指摘のとおり、今回供用を開始した区間は、簡易分離の片側1車線であり、全国では反対車線に飛び出しての正面衝突事故や、事故車両が車線を塞ぐことによる長時間の通行止めが多発しているところであります。

このような状況を踏まえ、県警察では、反対車線への飛び出しをはじめとする交通事故抑止のため、最高速度規制すや、はみ出し禁止等の交通規制を行ったほか、道路管理者である奈良国道事務所とも事前に綿密な協議を行い、中央帯へのポストコーン及び縁石の設置等の安全対策を行っていただきました。

また、交通事故発生時の的確な初動対応に向け、供用前の道路を使用し、消防等とのトンネル火災を伴う交通事故発生時を想定した合同訓練を行ったほか、道路管理者において、トンネルを含む要所への交通監視用カメラや、通行止めの際に緊急車両が一般道から直接本線に入れる管理用道路の整備等を実施していただきました。

さらに、高速道路交通警察隊の増員を行う等体制を強化し、交通事故抑止や交通事故発生時の迅速な初動対応に万全を期しているところであります。

 

次に、供用開始区間における交通事故の発生状況であすが、9月18日現在、当該区間の本線上において、人身事故が1件、物件事故が7件発生しており、その多くが供用開始直後の週末における渋滞中の追突事故で、幸い重大事故は発生しておりません。

 

今後も、引き続き道路管理者との連携を密にし、交通事故の発生実態や交通渋滞状況に即した、必要な道路改良や交通安全施設の整備を働きかけるとともに、パトロールの強化や広報啓発活動等を行い、交通事故の抑止に努めてまいりたいと考えております。