中南和地域の観光施策についておたずね致します。
その中でまず申し上げたいのは、県では更なる観光振興の充実強化を図るため、今年度より企画部に「観光交流局」が設置され、各般にわたる観光振興施策に関する企画立案や調整機能が発揮されるものと、大いに期待しているということであります。
そして奈良県は、言うまでもなく、県内2件の世界遺産をはじめ、日本を代表する、また、世界に誇れる歴史文化資源や、豊かな自然環境に恵まれ、これまでも多くの観光客を集め、わが国有数の観光地として、評価されてきました。
さらに、今月末から開催される、ユネスコ世界遺産委員会において、県内で3件目となる“紀伊山地の霊場と参詣道”が、あらたに登録される予定と聞いており、これを契機に、一人でも多くの来訪者に県内を「周遊」し、また「滞在」してもらい、奈良県の観光振興に大きく役立てていただきたいと考えています。
さて、中南和特に南和をみますと、明日香・高取・藤原京、長谷・室生、吉野、金剛・葛城、五条等、古代万葉の舞台のみならず、数々の歴史の大舞台となった地域であり、多くの日本人を魅了してやまない数多くの歴史・文化・自然資源に満ちあふれた地域です。
このような中南和地域において、去る3月28日「南阪奈道路」が開通しました。これは、大阪南部との連携強化を図る『平成の竹之内街道』といわれるもので、中南和地域にとって待望の道路です。これまでの県内道路事情をみた時、北和地域からは、高速まで短時間で行ける道路事情と、奈良県のへそで中南和の中心である県下第2の都市・橿原市や、その周辺地域である古代・中世の中心地であった高市郡からは、高速まで一時間前後かかるという道路事情に納得いかなかったのです。対して北和地域にはうらやましさを感じていました。
しかし、このたび、この道路の開通により、中南和と県外、あるいは、飛躍的に向上した関空へのアクセスを通じて、国内外との時間距離が大幅に短縮されたと言えましょう。八木駅からのリムジンバスの運行開始や、橿原市内での大型商業施設の立地など、地域の活性化が目に見える形で現れてきています。
個人的にも、私の住む明日香村から橿原市万葉ホールの南阪奈入口まで数分で行くことができ、今まで香芝・法隆寺・大阪柏原の各ICまで混んでいるときには一時間以上かかっていたのが、今では、同じ時間で大阪の中心地に行くことができます。
まさしく、中南和地域が大きく飛躍できる絶好のチャンスが到来してきていることは間違いありません。今こそ県で高いポテンシャルを有するこれらの観光資源を大いに活用し、中南和地域の観光振興施策に、全力を尽くして頂きたい。
そこで、南阪奈道路の開通に伴って、県としての今後の中南和地域の観光振興施策について、観光交流局長にお伺い致します。
議員ご指摘のとおり、本年3月の「南阪奈道路」の開通「リムジンバス運行」の開始、さらに「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録される予定であり、中南和地域にとって、まさに追い風が吹いているのではないかとの認識。
中南和地域の観光施策については、平城遷都1300年にあたる2010年までの間、古代首都変遷の歴史や文化を活用し、「大和路歴史首都ルネッサンス事業」を展開。
* 本年11月 伎楽の公演と「大化改新」歴史トーク
* 同12月 「大化改新」の舞台を歩くウォークイベント
を開催予定。
さらに、万葉文化館を核として、中南和地域の観光資源をネットワーク化する中で、「紀伊半島の霊場と参詣道」を含めた新たな観光ルートの形成に取り組む。
今後は、中南和地域の地理的特性もふまえ、大阪府等の他府県との連携、さらに関西国際空港を通じたアジアを中心とする外国人観光客の誘致などにも焦点を当てながら、市町村や観光関連事業者と一層連携し、参加体験型観光メニューの活用や「大和路アーカイブ」等による情報発信を行なって参る。
万葉文化館の現状と来館者の誘致対策など、今後の事業展開について伺いたい。
入館者は、今年の5月末では、開館以来の合計約42万6千人。昨年秋のアンケート調査によると、来館者は、県内が44%、県外が55%、館の内容については、8割以上の方が満足している。などの結果で、大方の好評を得ているものと認識している。
今後は、館事業のポスターやパンフレット等の配布をはじめ、旅行雑誌への広告掲載、ホームページの充実など全国に向けた情報発信とともに、旅行代理店等に対する働きかけや県内学校等への直接的な誘致活動、各種観光キャンペーン等への参画等きめ細やかな誘致活動も展開していく予定。
引き続き特別展・企画展の開催、「万葉日本画大賞展」、「平成万葉・千人一首」の編纂事業、あわせて中南和地域の豊富な文化・観光資源と連携した広域観光ルートの形成などにも取り組み、地域の活性化につなげていくよう努力してまいる。
国指定「史跡高取城跡」の整備について、これまでの取り組みと、今後の整備に向けての見通しを伺いたい。
史跡高取城跡は、国の補助事業として平成元年度から5年度まで、石垣の補修、橋の設置、園路整備を実施。また、平成7・10年度の台風による復旧事業として、石垣の修復、園路補修、倒木処理、石垣積み直し、土留め工事等を実施。
平成12年度には、高取町が「史跡高取城跡及び周辺地域整備基本構想」を策定。
更に、平成14年度から、緊急地域雇用創出事業で3ヶ年継続して樹木の伐採や除草等の環境整備事業が実施されている。
現在、高取町の整備検討委員会において、「基本構想」に基づき、国・県の補助を受け保存管理計画及び整備基本計画を策定中。県委員会としても、計画の構想段階から、地域の方々が参加し、保存に関わることが重要であると考えている。
文化財を身近に感じ、今後も大切に守っていただけるよう、これからの保存・整備について文化庁との調整等も含め、協力してまいりたい。
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