県議会_平成26年
平成26年6月27日代表質問答弁
代表質問要旨
1 自然エネルギーに対する県の取組について
(1)本県の再生可能エネルギーの導入促進の取組をより充実・強化するため、
エネルギービジョンの供給面の目標を見直し、更に高く設定するべきと考えるが、
知事の所見を伺いたい。
(2)国の補助制度を活用し、再生可能エネルギーの導入促進に、
より積極的に取り組むべきと考えるが、知事の所見を伺いたい。
(3)営農を継続しながら、環境にやさしく地球温暖化防止にも役立つ
太陽光発電を行い、所得向上に寄与する営農継続型太陽光発電事業について、
県として今後どのように対応していくのか。
2 公契約条例について
都道府県初といわれる先駆的な公契約条例の基本的な考え方と内容について
伺いたい。
また、制定のあかつきには、どのように施行・運用していく考えなのか伺いたい。
3 動物愛護に対する県の取組について
うだ・アニマルパークのこれまでの取組を踏まえ、
今後どのように取り組もうと考えておられるのか。
特に、「いのちの教育」について、奈良県の動物愛護行政の根幹と考えるが、
今後の進め方について伺いたい。
4 県南部・東部地域の振興について
本県の南部・東部地域の19市町村すべてが、日本創成会議のいう
「消滅可能性都市」に該当するとされたが、このことに対する知事の認識と、
これらの地域の振興に向けた県の取組について伺いたい。
5 明日香村への支援について 【要 望】
6 京奈和自動車道について
京奈和自動車道の今後の供用見通しや、残りの区間の早期完成に向けた
県の取組について伺いたい。
7 障がい者就労施設等からの優先調達の取組について
県は、障がい者就労施設等からの優先調達の推進について、
どのように取り組んでいるのか。
また、市町村に対してどのように働きかけを行っているのか。
(1)まず最初に、自然エネルギーに対する、県の取組についてお聞きします。
質問に入ります前に、先月5月7日、小泉・細川元総理を中心に設立された、自然エネルギー推進会議に参加した感想を、述べさせていただきたいと思います。
この会議は、原発ゼロへの取り組みと、自然エネルギーの普及活動を積極的に推進し、原発に頼らない社会への転換を、目指して立ち上げられた団体であります。
この趣旨に賛同し、作家の赤川次郎さん、精神科医の香山リカさん、俳優の菅原文太さん、尼僧の瀬戸内寂聴さん、そして、南相馬市長の桜井勝延さんなど、12人の発起人と、吉永さゆりさんをはじめ、42人の各分野で活躍されている著名人の皆さんが、賛同人として名を連ねておられます。
これらの方々は、保守も革新もなく、純粋にこの国の将来を案じて、自然エネルギーを推進することが、日本を救う道であると立ち上がった方々であります。
特に小泉元総理の挨拶での原発ゼロへの想いと、自然エネルギー推進への決意には、強く共感しました。
今回は原発ゼロが質問の要旨ではないので、小泉元総理の原発に対する発言は控えますが、何故自然エネルギーを推進しなければならないのかを理解してもらうために、一点だけ紹介させていただきます。
「原発は安全、安心、クリーンは大うそ、地震、津波、火山噴火、何より日本の地質状態は脆弱である。そして、テロに対処できない。核のゴミ、核廃棄物の最終処分場は日本では無理。そんな原発より自然エネルギーを加速推進させることが得策である。過去の人と言われようが、未来の世代のために、どんな困難な道であろうとも死ぬまでやる」との意気込みに、改めて感動と共感をし、日本の心のふるさと、自然に恵まれているこの奈良の地から、自然エネルギー推進に取り組むべきであると、確信した次第であります。
大変長い前置きになりましたが、質問に入ります。
国においては、本年4月に「エネルギー基本計画」が、閣議決定されました。
この計画では、今後20年程度の中長期のエネルギー需給構造を視野に入れ、今後取り組むべき政策課題と、長期的、総合的かつ、計画的なエネルギー政策の方針が示されておりますが、特に、電力システム改革を始めとした、国内の制度改革が進展するとともに、北米からのLNG調達など、国際的なエネルギー供給構造の変化が、我が国に具体的に及んでくる、平成30年から32年までを目途とし、安定的なエネルギー需給構造を確立するための、集中改革実施期間と位置付け、当該期間における、エネルギー政策の方向が定められています。
その中で、再生可能エネルギーについては、平成25年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していくこととされています。
奈良県においては、国のエネルギー政策の見直し、関西電力管内の電力需給の逼迫、紀伊半島大水害の教訓等を踏まえ、奈良らしい新たなエネルギー政策を推進するため、「奈良県エネルギービジョン」を、昨年3月に策定されています。
このエネルギービジョンにおいては、基本方針のひとつとして、太陽光発電や小水力発電、バイオマスの利活用など、多様な再生可能エネルギーの普及拡大を図ることを掲げ、供給面からの目標として、平成27年度の再生可能エネルギーの設備容量を、平成22年度比の2.7倍を目指すこととされています。
一方、再生可能エネルギー導入に係る現状をみると、国が普及拡大を図るため、平成24年7月から、固定価格買取制度を導入したところ、同制度開始以降、平成25年12月末までに、再生可能エネルギーの設備導入量は、制度開始前と比較して、34%増加したとの国の報告があります。まさに飛躍的な伸びであるといえます。
そこで、このような状況を踏まえ、本県の再生可能エネルギーの導入促進の取組を、より充実・強化するため、エネルギービジョンの供給面の目標を見直し、更に高く設定するべきだと考えますが、知事の所見をお聞かせください。
【答弁】(知事)
自然エネルギーに対してお問い合わせがありました。再生可能エネルギーの導入目標についてでございます。奈良県エネルギービジョンでは、供給面からの目標として、県内の再生可能エネルギーの設備容量を、平成22年度時点から、平成27年度には2.7倍にすることを目指していました。
その進捗状況でございますが、平成26年3月末時点で、22年度の約2.4倍となっております。目標の6割の機関で85%まで達成している状況でございます。県内の再生可能エネルギーの普及は着実に進んでいると思います。
一方で、再生可能エネルギーの導入の動きにつきましては、電力の固定価格買い取り制度などの国の支援制度の動向の影響があります。今年度の導入状況もよく見極める必要がありますが、目標値の上方修正について検討を進めていきたいと考えます。
(2)さて、固定価格買取制度等により、民間活力による再生可能エネルギーの普及拡大を図ることは、短期間で導入促進を加速させるために、効果的な方法ではありますが、民間事業者の活動は、採算性を考慮しての取組であり、エネルギーの地産地消や緊急時対応としての分散型電源の確保、エネルギーの安定供給などの問題もあるため、県全体のエネルギー政策を進めるには、県や市町村の積極的な取組が必要と考えます。
そのような中、私の地元の明日香村では、本年度、総務省の、地域経済循環創造事業交付金の採択を受け、電気自動車を活用した観光モデル事業を、進めていると聞いています。
この事業は、飛鳥を訪れる観光客に対して、スマートパッドを搭載した、超小型モビリティを中心とする、電気自動車をレンタルする事業で、明日香村・高取町・橿原市をエリアとした周遊コースを設定し、今まで、徒歩や自転車では移動が大変であった、目的地を超小型モビリティでつなぐものと、聞いています。エネルギー政策と観光政策を連携させて、地域振興につなげる、画期的な取組であると思います。
また、このような新たな取組を実施するにあたり、必要な初期経費に対して、国の交付金を活用する等(など)、限られた予算で効果のある取組を行うための、工夫も見受けられます。
国では、先に述べたとおり、平成30年から32年までを目途に、安定的なエネルギー需給構造を確立するための、集中改革実施期間と位置付け、経済産業省及び、環境省をはじめ、各省庁で、エネルギー政策の推進のための、様々な補助制度が創設されていると、聞いています。
本県においても、このような国の補助制度を活用し、再生可能エネルギーの導入促進に、より積極的に取り組むべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。
【答弁】(知事)
国の補助制度を活用した取り組みに関してでございます。国の再生可能エネルギーの導入の加速化の動きに合わせ、県においても補助制度を積極的に活用しながら進めているところでございます。
具体的には、議員お述べの明日香村の電気自動車を活用した観光モデル事業や、県においては、都道府県では初といわれております県立十津川高校へのLPガスを使った発電設備設置や、県庁周辺施設でのガス・コージェネレーションを活用した電力供給システムの導入可能性調査など、国の支援制度を積極的に活用しております。
さらに、つい先日、今週初めでございますが、環境省の「グリーンニューディール基金事業」について、本県分で16億円の配分が決定されました。東京都の17億、石川県の16億に並ぶもので、大変喜んでおりますが、これを活用し、今後3年間で、県及び市町村の防災拠点施設などに再生可能エネルギーと蓄電池の導入を進めたいと思います。
今後とも、様々な国の支援制度を最大限活用し、再生可能エネルギーの導入促進に向けて、積極的に取り組んでまいりたいと思います。
(3)続いて、農地の上部空間を利用し、営農を継続しつつ、太陽光発電を行う事業についてお尋ねします。
近年、農山漁村においても、自然活動によって絶えず再生・供給されるエネルギーを、積極的に有効活用することで、所得の向上を図ろうとする動きが、活発化しています。
農山漁村の活性化を図るとともに、エネルギー供給源の多様化を図るため、昨年11月15日に農山漁村、再生可能エネルギー法が成立し、11月22日に公布され、本年5月1日に施行されました。これにより、売電収益の地域還元などを通じ、所得向上による地域の活性化が、期待されるところです。
さて、この法律の施行に先立ち、農地に支柱を立てて、営農を継続するタイプの、太陽光パネル技術が、実用段階となったことを踏まえ、農林水産省は、営農継続型太陽光発電設備の農地転用については、支柱の基礎部分について、一時転用許可の対象とする旨の通知を発出しています。
この場合、太陽光パネルの下の農地において、農業生産の継続を確保することと同時に、周辺の営農に影響を与えないことなどが、条件とされていますが、営農と再生可能エネルギーの両立が図られるという点では、画期的な事業であると考えています。
現在のところ、まだ奈良県では実施に至っておりませんが、営農を継続しながら、環境にやさしく、地球温暖化防止にも役立つ太陽光発電を行い、所得向上に寄与する当該事業について、県として今後どのように対応していく考えでしょうか。農林部長にお伺いします。
【答弁】農林部長
近年、農地に支柱を立てて、営農を継続しながら上部空間に太陽光発電設備等を設置する技術が実用段階になっていることを受けて、農林水産省は、営農型太陽光発電設備についての農地転用許可制度上の取扱いに関する通知を発出しております。
具体的には、営農型太陽光発電設備の設置に伴い、支柱設置箇所等の営農できなくなる農地部分については、一時転用許可の対象とされています。
その許可に際しては、通常の審査基準に加えて、営農の適切な継続を前提として、パネル下部の農地における農作物の単収が平均的な単収と比較して2割以上減少しないことなどを条件としています。
議員お述べのとおり、営農型太陽光発電設備の設置は、農作物と再生可能エネルギーを同時に生産することができる有効な手段であると認識しています。また、他県では、ミョウガやガーデニングで使われるタマリュウ等を作付けすることで、一時転用許可を受けて設置された例もあることは承知しています。
本県においては、まだ事例はありませんが、営農型太陽光発電設備の導入にあたっては、日照量が少なくなる中で、いかにして8割の農作物収量を確保するかが課題であると考えています。
このため、今後、円滑な対応に向けて、他府県等における太陽光パネルの設置による農作物の生育に与える影響に関する先行研究の取組状況や、日照量が少ない中での作物ごとの収量データや収量を確保しやすい作物の選定などの情報収集にまずは努めて参りたいと考えております。
【要望】
エネルギービジョンの上方修正について、具体的な数値は挙げられませんでした。
少し残念ですが、県のエネルギービジョンの資料によりますと、太陽光は22年度から見て既に8割方目標を達成しています。小水力は1.5倍、バイオマス・風力は1.0倍の状況です。地熱は目標値がありません。
27年度には15万5千㎾で22年度の2.7倍になりますが、調査によると、奈良県のポテンシャルは170万㎾あるとなっています。
太陽光だけで補っている部分がありますが、小水力発電について、もっと活かせる部分があるのではないか。先日、鹿児島にエネルギーの特別委員会が行き、鹿児島ではかなり進んだ取り組みをしていると聞いています。
自然エネルギーは、県南部・東部の振興というところにおいても活かせるのではないか。と言いますのは、やはり自然エネルギーは雇用を生む。そして、地域を活性化する。里山資本主義ではないですけれども、岡山県の真庭市での「バイオマス」というような取り組みでまちおこしをしています。やはり、こういう今の、そしてこれからの時代に、県南部、面積は県の2/3あるなかで、どうしたら活性化・雇用を生むのか。先ほど、(県南部・東部地域の振興についての答弁で)「奈良モデル」とおっしゃられましたけれども、是非、「奈良モデル」をこの自然エネルギーで推進していただきますよう、要望と言いますか、意見を申し上げ、提案させていただきたいと思います。
2 公契約条例について
次に公契約条例について、お尋ねします。
このたび、知事は、奈良県公契約条例の制定に向け、本6月定例県議会に条例案を上程されました。
知事は、これまで、公契約条例の制定のため、庁内に検討チームを設置するとともに、賃金等の実態調査などに取り組まれ、折にふれ、議会でもその経過を答弁してこられたところです。
私ども、なら元気クラブでは、県予算に対する要望として、社会的公正の確保に資する入札方法の導入を図るため、奈良県公契約条例を制定し、県民の税金を財源とした公契約の履行において、受注者だけでなく、関係事業者・職員を含めて公平に資する方策を実現するよう求めてまいりました。
それは、公契約条例の制定により、働く人たちの生活の安定とくらしの向上につながる、地域経済の健全な発展が重要と考えてきたからであります。
そして、このたび、私どもの要望に応えるかたちで、6月定例県議会に、条例案が提案される運びとなったことは、大変喜ばしい限りです。
公契約は、県民の貴重な税金を使って実施され、県の行政サービスを直接担う役割を負っており、その品質確保の観点からも、適切かつ公正な、履行が求められています。
そういった意味からも、公契約条例を制定する意義は、極めて大きいものと信じてやみません。
そこで、知事にお尋ねします。都道府県初といわれる先駆的なこの条例の基本的な考え方と内容について、お聞かせください。
また、制定のあかつきには、どのように施行・運用していくお考えなのか、併せてお伺いします。
【答弁】(知事)
公契約条例の基本的な考え方と内容、運用についてのご質問がございました。
県では様々な契約を締結して、諸施策の推進や行政サービスの提供を行っていますが、これらの契約において、発注者である県には、一つには、公的機関の責務として、従事する方々の労働条件確保への配慮など公正な内容が求められると思います。
一方、県の事業に携わる受注者等は、法令を遵守し適正に履行する義務を負うものと考えます。公契約の両面の義務があるように思います。
加えて、受注者等の方々におきましては、地域社会の主要な担い手ですので、社会的な価値を実現・向上させる経済主体にふさわしい行動や役割が期待されているものと思います。
そのような認識を基本としまして、県では、このたび、公契約の相手方の適切な選定と適正な履行が確保されるよう、県の条例において、公契約の理念や方針、履行時の手続きなど基本的な事項を定めることといたしまして、今議会に提案させていただいているところです。
この条例の基本方針は2つの面があります。一つは、公契約の相手方の選定に当たって、障害者の雇用や働きやすい職場環境づくり、保護観察対象者の雇用など社会的な価値の実現・向上への寄与度を評価することです。
もう一つは、公契約の履行に当たって、受注者や下請負者等に対し、従事する労働者の最低賃金や社会保険の加入など関係法令の遵守を求めることです。
とりわけ、建設工事3億円以上、業務委託や指定管理3千万円以上の県との公契約においては、履行責任者の選任や法令の遵守状況の定期報告を求めることとしています。一定の違反行為に対しては、行政罰である過料や、入札参加停止等のペナルティを科すなど、条例の実効性を確保することとしています。
本条例案が可決されましたならば、細則となる施行規則や実施要領を速やかに定め、事業者や関係団体に丁寧な説明を行い、来年4月のスタートに備えたいと考えております。
また、施行後は、公契約審議会を活用し、PDCAサイクルによる条例の適正かつ円滑な運用が図れるよう取り組んでまいりたいと考えております。
3 動物愛護に対する県の取組について
次に、動物愛護に対する県の取り組みについて、知事にお伺いします。
先日、私は一冊の本を入手いたしました。「命の教室“動物管理センターからのメッセージ”」という本ですが、秋田県動物管理センターにおいて、捨てられ行き場のない、多くの犬や猫たちの命が奪われているという、殺処分の実態をあえて紹介することで、犬や猫たちの無念な思いなどを伝え、動物の命について、また、動物を飼う責任について、もっと子どもたちに考えてほしい。そして、自分たちの命の大切さを見つめ、自分の命もいたわってほしい。そのような思いで、秋田県内の多くの小中学校に出向き「命の教育」をされた、センター所長はじめ職員さんたちの奮闘が書かれております。
昨今、飼っている動物の飼育放棄や遺棄、また、動物への虐待や殺傷といった、動物に関わった痛ましい事件が、日々、新聞やテレビなどで報道されています。動物の「命」を大切にすることが、ひいては、人の「命」を大切にすることにつながると思います。
私は、去る4月30日に、同僚の阪口議員に誘われ、県内の動物愛護団体の方々と、宇陀市にあります「うだ・アニマルパーク」を視察いたしました。うだ・アニマルパークでは、動物に対する理解を促進するとともに、動物愛護の思想について、普及啓発を図るため、動物愛護教育イベントが数多く開催されており、来園者数も増加しているとお聞きしました。
また、地域振興の推進及び県東部地域の観光の拠点としても事業を推進しておられ、短い時間でしたが、とても有意義な視察となりました。
今回は特に、うだ・アニマルパークの中にあります、動物愛護センターの施設や業務を視察しました。
現在、我が国では年間約16万頭の犬猫が、全国の動物愛護センターなどの行政機関で殺処分をされており、奈良県においても例外ではありませんが、その頭数は年々減少しているとお聞きしました。
また、飼育放棄などにより収容された犬や猫を、新しい飼い主へ譲渡する事業や、動物とのふれあいを通して、動物を学び、動物から学び、そして動物のために学ぶ、「いのちの教育」にも取り組まれているとお聞きしました。
そこで、知事にお伺いします。
うだ・アニマルパークのこれまでの取り組みを踏まえ、今後どのように取り組もうと考えておられるのか。特に、うだ・アニマルパークでの「いのちの教育」について、これこそが、奈良県の動物愛護行政の根幹と考えますので、今後の進め方についてお聞かせ下さい。
【答弁】(知事)
うだ・アニマルパークは、動物とのふれあいを通して次代を担う子どもたちの健全な育成を目指す場である「パークエリア」と、動物愛護法等に基づき犬・猫の保護や引取などを行う「動物愛護センター」の、大きく2つの異なる機能を持っています。
「パークエリア」では、牛の乳搾りやポニーの乗馬など、動物と直にふれあえる様々な体験イベントや「休憩施設」、「大型すべり台」などの整備により、平成20年度の開園当初には年間約7万人であった来園者数が、昨年度は約18万1千人と大幅に増加し、多くの方々に来園いただきました。
「動物愛護センター」では、保護や引取のほか、動物愛護啓発イベントや、収容された犬や猫の動物譲渡を実施しており、その効果等により開園以降の6年間で、収容頭数は年間約2千5百頭から約1千8百頭に減少しました。殺処分についても約2千4百頭が約1千7百頭と大幅に減少しました。レベルとしては、近畿で2番目に低い頭数です。
また、これまでの6年間で416頭の犬や猫が新しい飼い主に引き取られました。
動物と直にふれあえる場であり、また動物の生と死が隣り合わせの場であることから、うだ・アニマルパークでは、開園当初より「いのちの教育」を実施しています。
うだ・アニマルパークに専門の教員を配置し、県内小学校の生活科や道徳の学習に活かすなど、全国でも注目されている取り組みです。
平成25年度は、モデル校に指定した県内小学校40校での出前授業や、遠足等で来園された約1万2千人の児童、園児などに対しプログラムを実施しました。
今後とも、来園された方々に様々な動物とのふれあいを通して、動物への愛護の気持ちをさらに育むとともに、犬や猫との正しい接し方や、不妊手術の重要性などを啓発することにより、収容頭数の減少に努めてまいります。
また、新たに整備した犬猫の飼育棟である「わんにゃんハウス」での譲渡候補動物の積極的な紹介や動物関係団体との協働により、譲渡数の増加に取り組んでまいります。
「いのちの教育」につきましても、モデル校の増加やプログラムの中高生への拡大、職場体験の積極的な受け入れなどにより、「いのち」の尊さをより多くの子ども達に伝え、動物への思いやりの心を育み、豊かな人間性をもつ子どもの育成に取り組んでまいります。
【要望】
動物愛護についてですが、今日も動物愛護団体の方が傍聴に来ていただいております。
先日、一緒にうだ・アニマルパークに視察に行きましたが、これまで、動物愛護団体とうだ・アニマルパークの室長や職員の皆様と意見交換の機会がほとんどなく、意思の疎通が図られていませんでした。
今後、県と一緒になって動物譲渡を進めていきたいと考えていますので、その方向性をお互いに相談し、お手伝いをしていきたいと思います。
4 県南部・東部地域の振興について
次に、県南部・東部地域の振興についてお伺いします。
去る5月8日、民間の有識者らでつくる「日本創成会議」が発表した資料によると、20歳から39歳の女性の人口が2010年からの30年間で、50%以上減少する市町村が全国で約半数、県内では26市町村あり、将来消滅の可能性があると指摘されていました。
昨日、森川議員から市町村の行政サービス提供の維持といった観点から質問がありましたが、私は、特に、過疎化・高齢化が進んでいる県南部・東部地域における取組についてお伺いします。
県南部・東部地域では、振興計画の対象となっている19市町村すべてが、消滅の可能性のある市町村に含まれており、改めて、同地域を取り巻く厳しい状況を認識させられたところです。
そんな折り、桜井市で、藻谷浩介さんの「里山資本主義の極意」という講演を聴衆しました。
里山には今でも、人間が生きていくのに必要な資源があるが、これはお金に換算できない大切な価値であり、それらを活かしていくことが、地域の活性化にもつながるという心強い内容でした。
取り組み次第では、この地域の人口減少に歯止めをかけられるのではないでしょうか。加えて、最近では生活ライフスタイルの多様化が進み、田舎暮らしをしたいという若者も出てきているように聞いています。
そこで知事にお伺いします。
本県の南部・東部地域の19市町村すべてが、日本創成会議のいう「消滅可能性都市」に該当するとされましたが、このことに対する知事の認識と、これらの地域の振興に向けた県の取組についてお聞かせください。
【答弁】(知事)
今回、創成会議より公表された資料は、これまで報じられてきました人口予測と大きく変わりませんが、「消滅」という言葉のインパクトが大きかったと思います。県・市町村はもとより、地域の方々へも大きな警鐘になったと思います。本県の南部・東部地域は、過疎化・高齢化がすでに進展をして、多くの課題を抱える地域でございますが、これまでから「住み続けられる地域」を目指して、振興計画による取り組みを進めて参りましたところでございます。何もしなければこうなる可能性が高いという今回の資料の持つ意味を再認識致しまして、市町村・地域の方々と良い意味での危機感を共有しながら、さらに、この地域の振興に取り組んでいきたいと考えております。
今回の資料で「人口減少」の要因は、「経済雇用格差」とされております。この「経済雇用格差」から生じる地方の若者の雇用を求めての大都市圏、特に東京圏などへの流出にあるようでございます。その結果、20歳から39歳の女性人口が減少し、多くの地域は将来的に消滅するおそれがあると指摘されております。奈良県の南部・東部地域だけではありませんが、この「経済雇用格差」をどう埋めるかが大きな課題でございます。そのためには、「地域での仕事を増やすことと」「地域での働き手を増やす」という2つの面から雇用対策に取り組む必要があると認識しております。
地域での仕事を増やすという面から、例えば、この地域での主力産業であった林業の復興を目指しまして、様々な課題にチャレンジしております。
さらに、女性や高齢者の雇用にも繋がる農家民宿などの宿泊施設の開設も支援しております。また、近隣地域に雇用の場を確保するため、京奈和自動車道の御所インター付近に産業集積地をつくる取り組みを進めていますが、これが完成すれば、例えば、黒滝村からでも40分の通勤圏内となりますが、村長は通勤団地を作りたいという発想も持っておられるようでございます。
一方、地域での働き手を増やすには、デザイナーや家具職人などのいわゆる手に職を持った人たちにターゲットを絞った移住の取り組みを進めたいと考えています。ターゲットを絞ることで、移住者の動機づけが明確になり、口(くち)コミなどの波及による移住希望者の増加が期待されます。
雇用以外の生活基盤の充実でございますが、南和地域公立病院新体制整備による医療機能を強化するとか、地域包括ケアシステムの構築による健康長寿の推進、あるいは、基本的には生活・買い物などの道路整備など、生活基盤を整備する必要があると思いますが、引き続きこのような面に配慮していきたいと思います。
また、昨日森川議員にお答え申し上げましたように、人口減少に伴う自治体機能の低下を防ぎ、行政サービスを維持・強化する必要がございます。県と市町村の連携を基本とした「奈良モデル」で、市町村の支援に取り組んで参りたいと思います。
紀伊半島大水害以降、特に南部地域では人口減少に拍車がかかっている地域もありますが、人口が少なくても活力がある地域をつくることは可能であると私は考えております。「住みたくなる、住み続けられる」地域を構築するということを目指して、さらに努力を続けていきたいと考えております。
5 明日香村への支援について【要望】
次に、私の地元明日香村のことで、一つ要望をしておきます。
今から34年前の昭和55年、明日香村に残る歴史的風土を保存するため、いわゆる『明日香法』が施行されました。その後、「明日香村整備基金」や「歴史的風土創造的活用交付金」など、国、県からの手厚いご支援をいただきながら、四次にわたる明日香村整備計画の推進により、歴史的風土が良好に維持されるとともに、村民生活の安定が図られてきたところです。
あらためまして、お礼申し上げたいと思います。
ただ、明日香村も先ほど申し上げた「消滅可能性都市」の一つに挙げられており、明日香の価値を守り、村民の生活を守っていくためには、今後とも、国、県からのご支援が是非とも必要です。
そのため、第四次整備計画の計画的な執行を推進していただくとともに、今年度までとされています「歴史的風土創造的活用交付金」の継続につきまして、村とともに国への働きかけをお願いする等、引き続きご支援賜りますよう、要望いたします。
6 京奈和自動車道について
次に京奈和自動車道についてお伺いします。
京奈和自動車道は、県の南北軸の中心であり、西名阪自動車道などの高速道路と連携することで、県内外のアクセスが強化されるとともに、企業立地の促進や観光振興等に大きく寄与するものと期待されており、その早期完成が望まれている重要な幹線道路であります。
しかしながら、県内の京奈和自動車道の整備率は未だ約40%と非常に低く、全国の高規格幹線道路の整備率と比べて約1/2程度と大きく遅れています。京奈和自動車道を始めとする幹線道路の整備は、県内の産業や経済の活性化、また観光面などに必要不可欠なものです。
現在、県内の各所で奈良国道事務所により事業が進められていますが、平成24年3月に橿原高田ICから御所IC間の3.7kmが供用されて以降、新たな供用区間がない状態です。
(仮称)大和郡山ジャンクションの今年度供用や、御所南ICから五條北IC間の平成28年度供用などの、見通しが発表されたと聞いていますが、県内の京奈和自動車道全体を見渡しますと、(仮称)奈良インターチェンジから、西名阪自動車道までの間や橿原市内の、土橋町南交差点付近から、新堂ランプ交差点間などでは、未だ現場で工事が行われていない状況であり、早期整備を求める声も高まってきています。
そこで、京奈和自動車道の今後の供用見通しや、残りの区間の早期完成に向けた県の取り組みについて、知事にお伺い致します。
【答弁】(知事)
京奈和自動車道は、本県の産業の活性化や観光振興等に欠くことのできない重要な社会インフラでございまして、県といたしましても、この国の整備に合わせま観光振興等に欠くことのできない重要な社会インフラでございまして、県といたしましても、この国の整備に合わせまして、地域と地域振興のためのプロジェクトを積極的に開発をしております。例えば御所インター周辺の産業集積地の形成や(仮称)奈良インター周辺の新駅の設置、まちづくりしましても、この国の整備に合わせまして、地域と地域振興のためのプロジェクトを積極的に開発をしております。例えば御所インター周辺の産業集積地の形成や(仮称)奈良インター周辺の新駅の設置、まちづくりしましても、この国の整備に合わせまして奈良インター周辺の新駅の設置、まちづくりしましても、この国の整備に合わせまして、地域と地域振興のためのプロジェクトを積極的に開発をしております。例えば御所インター周辺の産業集積地の形成や(仮称)奈良インター周辺の新駅の設置、まちづくりなどの取組でございます。
こういう状況の中、本年4月に、国土交通省近畿地方整備局から、供用の目処が発表されました。西名阪自動車道と繋がる(仮称)大和郡山ジャンクションなどにおきましては26年度供用、御所南インターから五條北インター間の28年度供用が、新たに発表されたものでございます。
これにより、京奈和自動車道の整備が、今後、益々加速されるものと期待をしておりますが、これまでご尽力頂きました県議会議員の皆様をはじめ、多くの関係者の方々に厚く感謝申し上げたい気持ちでございます。
一方、供用の予定が公表されていない事業区間も議員のご指摘にありましたようにございます。多くの立体交差を要する橿原市内と、(仮称)奈良インターから西名阪自動車道までの2区
間でございます。
橿原市内は用地の取得が9割以上進んでおりまして、また、(仮称)奈良インターから西名阪自動車道までは用地買収に取組を始めた段階でございます。
これらの区間につきましては、平成30年代半ばの供用を目指して事業推進を図るよう要望しており、一日も早く工事に着手するよう、国に対し引き続き強く要望していきたいと思います。
県の役割といたしまして、県の土地開発公社の用地事務所による用地の先行取得など、工事着手に向けた環境整備に積極的に取り組んで参る所存でございます。
7 障がい者就労施設等からの優先調達の取組について
最後に、障がい者就労施設等からの優先調達の取組についてお尋ねします。
先日、「障害者優先調達推進法」に基づき、障がい者就労施設等からの優先調達指針を公表している県内の市町村数は、10市町村にとどまっているとの新聞報道を目にしまして、私は大変残念に思った次第です。
と申しますのも、この法律は、「障害者就労施設等で働く障害のある方々の自立を促進するため、地方公共団体には、その施設等から、優先的、積極的に物品や役務サービスの調達に努める責務」を定めるとともに、実効性を高めるため、調達方針や調達実績の公表を求めています。
昨年4月の施行から1年余りが経過しているのにも関わらず、市町村の取り組みが広がっていないことに、懸念をいだいているところです。
言うまでもなく、障がいのある方々にとって、働くということは、経済的な基盤を得るだけではなく、社会や仲間とつながりを持つことができ、生きがい等を感じることができる大変重要な機会です。
また、ご家族にとっても、いわゆる「親なき後」を考えたとき、子どもさんの働いている姿は、安心材料の一つになると思います。
県は、障がい者雇用率全国1位を目指して、国と雇用対策協定を締結するなど、関係者等と連携し、積極的に取り組んでいただいていることも承知しており、高く評価をしているところです。
ただ一方で、一般企業等に就労したくても、適性等から就労できない方々がたくさんいらっしゃることも現実です。そして、このような方々を受け入れる場が障がい者就労施設です。
県内においては、規模の小さな施設が多く、まだまだ安定的に需要に応えられる施設数も少ない状況と聞いておりますが、このような施設を育てる観点からも、県や市町村は、積極的かつ率先した優先調達の取り組みを推進すべきだと思います。
そこで、県は障がい者就労施設等からの優先調達の推進について、どのように取り組んでいるのか。また、市町村に対してどのように働きかけを行っているのか。健康福祉部長にお尋ねします。
【答弁 】(健康福祉部長)
議員お述べのように、障害のある方が誇りと生きがいを感じながら、地域で自立した生活を送るためには、就労を通じました社会参加の実現が重要でございます。とりわけ、障害者就労施設等からの優先調達によりまして、ここで働く方々の工賃の向上を図ることは、経済的な基盤を支える観点からも大変重要であると認識をしております。
まず、県におきましては、既に障害者優先調達推進法に基づきまして、調達推進方針を作成・公表いたしまして、そして障害福祉課が庁内の受発注窓口となりまして、全庁的に推進をしているところでございます。平成25年度の実績は約250万円、平成26年度の目標はその約2倍の500万円と定めまして、より積極的な調達に取り組んでいるところでございます。
具体的な調達の内容といたしましては、パンフレットの印刷、イベント記念品等の発注を行いますほか、本庁では、屋上広場の除草作業、執務室内の清掃、公用車の洗車、廃棄文書のシュレッダー処理などの業務委託を行っております。また、出先庁舎の清掃等の業務についても検討しているところでございます。
一方、市町村に対しましては、部課長会議や担当者説明会等を通じまして、制度の周知、県の取組の紹介、施設等が供給できる物品等の情報提供などを行いますとともに、調達方針の早期策定と積極的な調達への取組を働きかけておりますが、議員ご指摘のとおり、調達方針につきまして、その策定済みは、10市町村に過ぎない状況でございます。
この原因といたしましては、議員お述べのように、安定的な商品等の提供が困難な小規模な施設が多いこと、また、施設で作る商品と市町村のニーズとの関係等によるものというふうに考えております。
県といたしましては、複数の施設が共同で受注できるような体制づくりに取り組みますとともに、これまで県庁が率先して実践することによって得られましたノウハウあるいは施設等とのネットワークを活かしながら、市町村の体制づくりを支援することによりまして、県はもとより、県全体としての調達規模の拡大を図ってまいりたいというふうに考えております。