県議会

 

令和元年9月18日代表質問答弁
平成29年9月14日代表質問答弁
平成26年6月27日代表質問答弁

 

令和2年6月23日代表質問

令和2年6月23日 代表質問答弁

6月議会・代表質問要旨(6/23)
1 国体の招致と新たなスポーツ拠点施設の整備について  (知事)
令和2年2月定例県議会において決議した国体の招致について、今後どのように準備を進めようとされているのか。
また、2030年の国体開催と、その先の将来を見据えた新たなスポーツ拠点施設の整備について、現在の進捗状況と、今後どのように進めようとされているのか、伺いたい。
2 更正支援の取組の現状と課題について         (知事)
「奈良県更正支援の推進に関する条例」の理念を実現するため、何を重要と考え、どのように取組を進めていくのか、知事の所見を伺いたい。
3 薬事研究センターについて              (知事)
薬事研究センターについて、新たな研究分野への投資や、県内中小企業への技術支援の更なる充実を図るべきと考えるが、今後のあり方について、所見を伺いたい。
4 新たな森林環境管理の推進について          (知事)
「奈良県森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例」をはじめ、新たな森林環境管理を推進するための条例が制定されたが、今後、どのように施策を推進していこうと考えているのか。
5 全国高等学校野球選手権大会の代替として開催される奈良県大会について                     (教育長)
中止された全国高等学校野球選手権大会の代替として開催される奈良県大会について、生徒の健康面や安全面に配慮し、感染防止対策に万全を期しつつ、生徒の活躍を最大限応援できるよう、県教育委員会は、高野連とともに、どのような大会にしようと考えているのか
6 特殊詐欺について               (警察本部長)
県内の特殊詐欺の発生状況と、警察本部における被害防止の取組について伺いたい。

6月23日 山本議員代表質問の結果

1 国体の招致と新たなスポーツ拠点施設の整備について(知事)
令和2年2月定例県議会において決議した国体の招致について、今後どのように準備を進めようとしているのか。
また、2030年の国体開催と、その先の将来を見据えた新たなスポーツ拠点施設の整備について、現在の進捗状況と、今後どのように進めようとしているのか、伺いたい。

○知事:
2030年国体の本県への招致について、先の2月定例県議会において決議いただいた。このことを受け、本年4月に国や日本スポーツ協会等に「開催要望書」の提出を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、8月中の提出になると考えているところ。
また、国体の開催に当たっては、基本計画を策定し、競技会場の選定、競技運営、広報等の諸準備を計画的に進めていく必要があるため、今年度中に、県・市町村及び県スポーツ協会や各競技団体等で構成する準備委員会を設立する予定。
国体の主会場ともなる新たなスポーツ拠点施設の整備については、市立橿原運動公園も候補地になる可能性があると考えていたが、昨年の12月に橿原市長から、市立橿原運動公園と県立橿原公苑の一体的なスポーツ施設の整備について、市議会の理解を得て県と協力して進めたいという趣旨の要望書の提出があった。
県としては、この要望を受け、両施設を一体的に整備することも一つの手法と考え、まずは、市立橿原運動公園と県立橿原公苑を一体と捉えた新たなスポーツ拠点の整備に関し、県と市との間で協議を行う場を設定するための「覚書」の締結を橿原市に提案したところ。
この「覚書」に基づく協議事項は以下の4点。
① 国体主会場の整備
② 中南和の地域振興拠点の整備
③ スポーツ振興と健康増進の拠点の整備
④ 地域の防災拠点の整備
橿原市においては、市議会で様々な意見があると聞いているが、明日(6/24)の市議会全体協議会において、市長出席のもと、県が提案した、この協議の場の設定の「覚書」案について正式に説明されると伺っている。「覚書」案に、市議会の理解が得られるかどうかが、このプロジェクトを進めるうえでの重要なポイントになると考えている。
「覚書」を締結し、協議が出来るようになれば、この協議の進め方としては、まず最初に、県は市に対しスポーツ拠点施設の整備に関する考え方を示すこととしている。次に市は、この県の考え方について検討した上で、市の考え方を示すこととなる。県と市は双方の意見を尊重し、誠実に協議を行うこととしている。
こうした大きなプロジェクトは、県と市が同じ方向を向き、お互いに知恵を絞り、段階を踏んで慎重に協議を進めていくことが大切であり、その内容については各々の議会にも説明し、県と市が熱意を持って取り組む必要があると考えている。

○山本議員:
国体について、今年度中に市町村等で成る準備委員会を設置するとあったが、10年後を見据え、なるべく早く、第一歩目に取り組んでいただきたい。
施設整備については、知事がこれまで橿原市だけでなく、高市郡はもとより、吉野郡、中南和東部の活性化の起爆剤になるということで、大変大きなプロジェクトであると述べられている。私も全く同じ意見。この方向性は、私たち地元の県会議員、そして南部振興議員連盟の議員の皆様も同じ意見だと思う。今後様々な課題や問題があるとも思うが、是非、このプロジェクトの実現に向けて、県が、市とともに一丸となって取り組んでいただきたい。答弁で、明日24日に、そのポイントになる協議会が(市で)行われるそうだが、今日の知事の答弁がしっかりと橿原市議会、市長に届くものだと私も信じ、良い方向に進むことを願っている。

2 更生支援の取組の現状と課題について(知事)
「奈良県更生支援の推進に関する条例」の理念を実現するため、何を重要と考え、どのように取組を進めていくのか、知事の所見を伺いたい。

○知事:
先の2月定例県議会で御承認をいただいたが、4月から施行しております「奈良県更生支援の推進に関する条例」について、理念は、罪に問われた者等が地域社会において孤立することなく、誰もが地域の一員として包摂される社会の実現を目指すことにある。
これを実現するためには、地域に出所者等の居場所があること、そこで就労を含めた社会活動が営めること、そしてこのことについて県民などの理解があることが重要だと考える。
この考えに基づいて取組を進めるに当たり、県は、国の司法行政と地域の福祉を繋ぐ役割を自ら積極的に担いたいと考えている。具体的な手法としては、条例の第13条に定めているとおり、一般財団法人を設立し、その法人が核になって、出所者等を直接雇用し、就労の場づくりや住まいの確保を始めとして、社会復帰に必要な様々な支援を行って参る考え。なお、財団の名称は、全ての困っている人を、家族の一員として受け入れ、一人一人が輝ける家という気持ちを込めまして「かがやきホーム」とし、通称は、イタリア語になりますが「スプレンデンテ・ファミーリア・ナラ」にしたいと思っている。
現在、本年7月1日の財団設立に向けて、役員や出所者等を直接処遇する相談員の就任手続、出資の手続、事務所の開設準備を進めており、近日中、明日にでも設立登記の申請を行う予定。
財団設立後は、法務省等の協力を得て、さっそく出所予定者の採用面接を実施し、まずは山林で木の伐採等に従事する方を2名程度採用したいと考えている。
これまで奈良県更生支援のあり方検討会の横田委員長や中井委員をはじめ、色々な方の応援をいただき、おかげさまでここまで進めてくることができた。
この取組は、全国初のまさにチャレンジングな取組である。全てが思い描いたとおり一朝一夕にうまく進むとは限らないが、引き続き、あり方検討会等で取組の検討を行い、様々な意見をいただきながら、一歩ずつ着実に進めていきたいと考えている。
その際、先に述べたとおり、県民の皆様の御理解を得ることが大変重要だと考えているので、この取組の趣旨をしっかりと丁寧に説明するように努めて参りたい。

3 薬事研究センターについて(知事)
薬事研究センターについて、新たな研究分野への投資や、県内中小企業への技術支援の更なる充実を図るべきと考えるが、今後のあり方について、所見を伺いたい。

○知事:
薬事研究センターは、昭和27年に薬事指導所として設置され、これまで企業への技術指導や新人教育などの人材育成、共同研究による商品開発の支援を実施してきた。また、平成25年からは漢方のメッカ推進プロジェクトにおいて、大和トウキの薬効研究や漢方薬製造を支援してきた。このように、センター設置後、一定の成果を上げてきたものの、その機能の点検・見直しを十分には行わないまま現在に至っているのではないかと考えている。
一方、この間、医薬品を取り巻く状況は大きく変化している。とりわけ、ここ10年間においては、新薬の主流は化学合成医薬品からバイオ医薬品へとシフトしている。また、後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品の割合を80%にするという国の政策目標もあり、全国的にジェネリックの使用量が大幅に伸びている。
こうした状況の変化を見据え、奈良県における薬業振興や医薬品の安全性の確保などについて、県が果たすべき役割をしっかり検討する中で、今後のセンターのあり方も検討を加えていきたいと考えている。

○山本議員:
薬事研究センターについては、危険な状態であるが、耐震工事は保留となっている。
研究が3箇所に分散していることもあり、改築をするのか、耐震で行くのか、できれば総合的に改築でお願いしたいが、しっかりと検討いただき、なるべく早く方向性を示してほしい。

4 新たな森林環境管理の推進について(知事)
「奈良県森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例」をはじめ、新たな森林環境管理を推進するための条例が制定されたが、今後、どのように施策を推進していこうと考えているのか。

○知事:
本県における新たな森林環境管理の推進については、本年3月に県議会でご承認いただいた「奈良県森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例」に基づき、今後、次の取組を柱に進めていく所存。
まず、本年度は、森林が有する4つの機能、「森林資源生産」「防災」「生物多様性保全」「レクリエーション」の4機能を発揮させることを目的に、条例の第9条に定める「森林環境の維持向上に関する指針」を策定しなければならない。
この指針では、4機能を発揮させる森林へと誘導するため、森林環境や地勢条件をもとに、様々な樹種、樹齢等で構成される「恒続林」、スギ・ヒノキ等の「適正人工林」、「自然林」、「天然林」の4区分にゾーニングして、施策の目標や方針等を定めたいと考えている。
このうち、恒続林は、森林の4機能を高度に発揮できることから、まずは、集落や道路近傍の施業放置林等をターゲットにして、市町村等と連携して、計画的、重点的に恒続林化を促進したいと考えている。
次に、奈良県フォレスターアカデミーの来年4月開校に向けて、現在、施設整備や学生募集等の諸準備を進めている。このアカデミーを卒業した県職員を「奈良県フォレスター」に任命し、市町村に長期的に駐在させる予定。
具体的には、森林環境管理を総合的にマネジメントする専門官として、森林法の伐採届、市町村による森林整備計画、施業放置林の恒続林化等に関する事務などに従事させたいと考えている。
なお、先程の答弁でも申し上げたが、来月に「出所者等の社会復帰を支援する財団」を設立するが、この財団と連携して、「間伐等の森林作業」を確保・提供することにより、就労支援とともに森林環境管理にも資するよう努めてまいる所存。

5 全国高等学校野球選手権大会の代替として開催される奈良県大会について(教育長)
中止された全国高等学校野球選手権大会の代替として開催される奈良県大会について、生徒の健康面や安全面に配慮し、感染防止対策に万全を期しつつ、生徒の活躍を最大限応援できるよう、県教育委員会は、高野連とともに、どのような大会にしようと考えているのか。

○教育長:
新型コロナウイルス感染症の拡大による夏の甲子園大会の中止に伴う「奈良県大会」の中止により、目標の達成に向けて日々練習に取り組んでいた多くの生徒たちの成果を発揮できる機会が失われることとなった。
このような状況の中で、県教育委員会は県高等学校野球連盟とともに、全国大会、地方大会の代替大会となる「令和2年度奈良県高等学校夏季野球大会」を開催し、3年生の生徒にとっては、高校最後の集大成となる場を設けることとした。
会期は、7月18日から8月6日までの内、計17日間とし、佐藤薬品スタジアムにおいて、トーナメント方式で行い、原則として、無観客試合とする。
また、3年生部員全員の選手登録を可能とし、3年生のベンチ入りへの配慮を行うなど、試合方法について、過日の19日に県高野連が公表している。
更に、生徒の健康管理のため、代替大会専用に日本高野連が策定した「新型コロナウイルス感染防止対策ガイドライン」を活用し、選手及び保護者に対して、朝の検温や手洗い、うがいの励行など、感染防止対策を周知徹底するとともに、熱中症予防にも試合時間帯に応じて、十分な配慮を行い、万全の対策を講じる予定。
トーナメント戦での開催により、生徒のモチベーションが上がり、目標をチーム全体で共有し、仲間意識や連帯感が高まることを期待するとともに、持てる力を十分に発揮し、次のステップへ向かうための思い出深い大会となることを願っている。

○山本議員:
今後の対策を、よろしくお願いを申し上げる。

6 特殊詐欺について(警察本部長)
県内の特殊詐欺の発生状況と、警察本部における被害防止の取組について伺いたい。

○警察本部長:
県内の特殊詐欺の発生状況は、本年1月から5月末現在で、昨年同期の1.8倍となる97件を認知し、被害額は約1億6千万円にのぼっている。被害者は主に高齢者で、特に最近では、警察官や市役所職員等を騙る「掛け子」が被害者宅の固定電話に電話をかけ、訪れた「受け子」がキャッシュカードをだまし取り、現金を引き出す手口が全体の8割を占め、また予兆と見られる不審電話は、警察で把握しているだけで少なくとも875件にのぼり、「奈良県が狙われている」とも思える状況にある。
一方、検挙状況については、タクシー事業者等の協力もいただき、本年5月末現在、「受け子」を中心に23人を検挙しており、今月1日には「特殊詐欺特別対策隊」を発足させ、「受け子」の検挙体制を一層強化しているところ。
また、被害の未然防止に向けて、パトロールメモの各戸投函や「交番・駐在所だより」、ナポくんメールやヤフー防災速報等で最新の手口や不審電話に関する情報等をお知らせするほか、不審電話があった地域では、パトカーのマイク広報でタイムリーな注意喚起を行っている。さらに、「特別定額給付金」に乗じた詐欺対策として、申請書類に注意喚起のビラを同封するなど、自治体と連携した取組も進めている。
最後に、県民の皆様にご注意頂きたい点について申し上げる。まず、最新の詐欺の手口を知ることが大切であり、詐欺対策のキャッチフレーズである「渡すな!キャッシュカード 教えるな!暗証番号」を胸に刻んで頂きこれをしっかりと守って頂く、次に、平素から家族の間で「合い言葉」を決めておき、子や孫を騙る不審な電話に備える、さらに、固定電話の留守番電話機能や迷惑電話防止機能を活用し、知らない相手からの電話には出ないなど、不審な電話等があれば迷わず警察へ通報して頂くなど、県民一人一人ができる防犯対策に、ご協力をお願い申し上げる。

○山本議員:
今後の対策を、よろしくお願いを申し上げる。

支援を行って、魅力あるまちづくりを進めていきたいと考えております。

2 中南部地域、東部地域の振興について

(1)先の6月定例県議会で表明された「国体開催に向けた橿原公苑と橿原運動公園においての一体的なスポーツ拠点施設の整備」について、改めて知事の考えを伺いたい。

<知事>

議員お述べのとおり、本県は、スポーツ施設が充分ではありません。また、スポーツ振興施策も今ひとつでした。2巡目の国体開催が2030年頃に迫ってきているなかで、その先の将来を見据えて、県内のスポーツ施設のあり方とスポーツ振興施策のあり方を検討し、推進する必要があると認識しています。この基本的な考え方は、先の6月議会で答弁したとおりですが、この10年間を絶好のチャンスと捉え、スポーツ施設の整備とスポーツ振興施策を大きく進展させたいと考えています。

スポーツ施設の整備について、国体では、第一に、約3万人の規模で開催できる開会式会場が必要となります。また、60から70箇所の競技会場を配置することになります。これらの施設の計画・整備にあたっては、市町村との連携を密にして、中長期的な視野で、県と市町村の役割をしっかりと見据えながら、スポーツ振興施策と合わせ、地域の活性化につなげ、地域間のバランスをとっていくことが重要と考えます。

このような考え方のもと、国体の開会式を視野に入れて、6月議会で、県立橿原公苑と橿原市の橿原運動公園の土地・施設の交換による拠点的整備について申し上げました。また、この交換がなされない場合に備え、その他の場所での開会式場の可能性も並行して考えておく必要があるとお答えしました。他の地域からの陳情書も出されている状況です。

橿原市との土地・施設の交換は、プロジェクト推進のため、望ましい事業手法として提案したものです。このような地域振興の核となる一大プロジェクトは、県と市町村の双方に大きな意味がありますが、今回のような事業をうまく進めるための必要条件は次のように考えています。まず第一は、やはり地元の熱意が必要です。

首長、議会、地域住民の方々のプロジェクトへの理解と情熱が必要です。

次に、地元の熱意に答える形で県がプロジェクトを素晴らしいものにするための知恵をしぼり、汗をかくことが必要となります。

このような形でプロジェクトを進めるためには、県と市町村が同じ気持ちで、同じ方向を向き、市町村からは、県とともに事業を推進するという確実な意思表示をいただく必要があると考えています。このことは、どこの市町村で実施する場合も、必要な条件になると思います。

県としては、約10年後に国体開催が迫っており、開会式の会場となる施設の構想、計画から施工にあてる期間に余裕があるとは言えない状況にあることから、出来るだけ早期に、事業を共に行うことを希望される市町村の熱意と明確な意思を確認しつつ、施設の整備構想をとりまとめたいと考えています。

(2)新駅の設置を含めた、県立医科大学と周辺のまちづくりについて、現在の進捗状況と今後の見通しを伺いたい。

<知事>

県立医科大学と周辺のまちづくりについては、平成24年から、県、橿原市、医大の3者で「医大・周辺まちづくりプロジェクト会議」を設置し、まちづくりの方向や進め方、対象エリア、導入する機能など多岐に渡る内容について綿密な協議を進めてまいりました。

医科大学の新キャンパス整備については、都市計画手続きの事前協議などを順次進めるとともに、施設の配置計画や必要な機能などを検討し、本年3月に「新キャンパス整備基本計画」を取りまとめたところです。これは順調に進んでいると思っております。

一方、病院の近くに新駅を設置する、医大新駅設置については、近鉄との折衝で、八木西口駅の存廃が大きな課題となっております。この課題克服に向け、現在、近鉄と調整を進めているところです。

グラウンド部分の文化財発掘調査については、平成29年度から継続して実施しており、本年10月中に現場での発掘調査が完了し、資料整理を進めていく予定です。また、「医大周辺地区まちづくり基本構想」についても、今年度内策定に向けて、県と橿原市が連携し、取りまとめを行っているところです。

今後も、早期にまち開きができるよう、引き続き橿原市や近鉄、医大などの関係機関と連携し、まちづくりを進めてまいりたいと考えております。

(3)橿原市と高市郡は、従来から結び付きが強い地域であり、将来的に、合併という道に進む可能性も想定され、今から準備を進めていくことも必要と考えるがどうか。

<知事>

平成の大合併の際、全国的な合併促進機運の中で、奈良県でも、合併に向けた取組を支援致しました。その際、橿原市、高取町及び明日香村の組合せもお示ししましたが、合併には至りませんでした。そもそも市町村合併は、それぞれの市町村の住民の方々の意思を市町村自身が民主的基盤の下で判断し、それを尊重されるように進めるプロセスが重要だと考えております。平成の大合併に際しましても、そのようなプロセスの結果、この地域では合併に至らなかったものと聞いております。現在、地域で合併を進めていこうという機運がない中で、積極的に県が推進に向けて関与することは適切ではないと考えております。

合併があまり進まなかった奈良県において、市町村行政の強化・効率化を図る手法として、自治体間の連携をもとにした「奈良モデル」の取組を進めてまいりました。「奈良モデル」の取組は、その効果が目に見える形で現れてきております。住民の方々への効率的で質の良い行政サービスの提供、地域活力の維持・向上につながればいいと思っております。

国においても、平成26年の地方自治法の改正で、新たな連携制度として「連携協約」や、県が積極的に市町村に力を貸すことができる「事務の代替執行」が創設されました。国の考え方も、かつての「合併の推進」の音頭取りから「連携の促進」にシフトしているように思われるところです。このような合併から連携への流れは、まさに本県が取り組んでいる「奈良モデル」の考え方をモデルにされたのではないかと思っております。市町村が持続可能で効率的な行政を推進し、地域活力を維持・向上していくためには、「奈良モデル」を「地方自治の新しい形」として、更に発展させて、良いモデルを作っていくことが、今後も重要であると思います。

改めて考えてみますと、合併はフルの合併もありますが、一部の合併、連合という形もございます。病院業務だけを合併させよう、あるいは、消防だけを合併させようという連合という組織も地方自治法で認められております。連携の場合も近隣と連携するだけでなしに天理市がされているようなゴミの広域な連携という飛び地の連携もございます。また県も関係するような連携、また他の県の市町村とも関係するような連携も今、目に見えてきております。行政区域に囚われない業務を中心とした助け合い、というような方向でございます。さらに3つめは、基礎自治体のフルスペックの業務の見直しを進めてはどうかという議論が進められています。中心市に部分的な業務を差し上げて、それは例えば橿原市でやってくれ、そのほかは、町村でするという考え方もあろうかと思います。これはまだ制度化はされておらないように思いますが、人口が減少する中、市町村の役場の成り手もすくなくなる中、フルスペックの市町村業務というのはなかなかしんどいものでございますが、それが合併したからといって業務が向上するわけでもございませんので、いろいろな知恵がいるように私は思っております。

(4)高取城の整備や、「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の世界遺産登録をはじめとした、中南部地域、東部地域の歴史文化資源の保存と活用に向けた今後の取組について伺いたい。

<知事>

高取城は歴史ある文化資源と認識しております。文化財保存課が知事部局の組織となったことをきっかけに、高取城の整備に力を入れたいと思っています。まず、高取城の整備をどうするのかというスタートの課題があります。高取町の取り組むまちづくりのビジョンの中で高取城をいかに位置づけるのかというのが出発点です。その方向性を高取町と共有することが重要です。そのため、県が高取町、有識者を含めた検討体制を整え、整備の全体像、整備手法、役割分担など整備のあり方の検討を深めてまいります。議員お述べのように、部分的に石垣や道がほったらかし、樹木は伸び放題というような傾向があり、整備を早くしたい気持ちは一杯ですが、全体像を早く考えたいと思っています。県としては、土佐街道を上手く使って、土佐街道と城をつなげるようなまちづくりが望ましいと考えていて、町と協議を進めているところです。

また、世界遺産暫定一覧表に記載されている「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」については、県と橿原市、桜井市、明日香村で構成する世界遺産「飛鳥・藤原」登録推進協議会で取組を進めてきましたが、あまり進んで来なかったような感覚があります。この際、世界遺産を目指そうと一念発起していると言っても良いぐらいの気持ちになっております。令和6年には世界遺産として登録されるようなスケジュール感で取組を本格化していきたいと考えています。

この他、文化資源を活用して地域振興に取り入れるプロジェクトがいくつもございますが、まず、県では、文化財を組み合わせて地域の活性化に結びつけようという「文化クラスター事業」を進めています。現在、奈良公園や平城宮跡において実施しています。文化財関連のイベントをつなげてネットワークにしよう、クラスターにしようというものであります。文化財は組み合わせると宝石になる可能性が十分ありますし、中南部地域にも宝石になる素材が転がっているように思います。この「文化クラスター事業」を中南部地域にも拡大していくことを考えています。橿原考古学研究所や万葉文化館などの施設、地域の社寺が核となり、市町村とも連携した歴史文化資源を活用したイベントのようなイメージを展開してまいります。

なお、橿原考古学研究所においては、所長に就任いただいた、前文化庁長官である青柳所長の広い視点に立脚したリーダーシップを期待して、南部の歴史文化資源の調査・研究・保存・活用の拠点としての機能の強化を考えているところでございます。

また、令和3年度中に開村予定の歴史芸術文化活動の先駆的拠点である「なら歴史芸術文化村」は、本物の歴史文化資源に触れていただくことができる施設でございますが、広域的な活動の拠点となり得る施設と考えており、中南部地域・東部地域へ人の流れを誘導することが図れると考えています。

本年4月に、文化財保存課を教育委員会から知事部局に移管しました。これにより、歴史文化資源の保存と活用の一体化の視点を軸に、県庁内で横断的な政策連携をより一層進め、ひいては中南部地域・東部地域の魅力的な歴史文化資源に触れていただく多くの機会を創出したいと考えています。

3 幼児教育・保育の無償化について

10月から始まる、幼児教育・保育の無償化を円滑に実施していくために、県はどのように取り組んでいるのか。

<こども・女性局長>

幼児教育・保育の無償化を円滑に実施していくためには、実施主体である市町村が制度を適切に運用できるよう、県が支援することが必要です。このため、県では、制度内容や市町村が行う事務についての説明会のほか、内閣府の担当者による説明の機会を設け、制度運用における具体的な留意点等について周知を図ってきたところです。さらに、準備を進める中での課題とその対応方法を市町村間で共有するため、実務担当者会議を開催する等、県と市町村が連携して無償化の準備を進めてきました。

議員お述べのように、認可外保育施設も無償化の対象ですが、保育従事者の配置や安全対策等、質の確保に課題のある施設があり、今後5年間で県の定める「認可外保育施設指導監督基準」を満たすことが必要です。

このため、今年度、県では、全ての施設で立ち入り調査を実施するとともに、長年の保育経験を持つアドバイザーによる巡回指導も併せて実施し、指導監督基準の遵守や安全対策の実施等について助言を行うことにより、質の確保・向上に取り組んでいるところです。また、議員が懸念されている更なる保育需要への対応については、今年度、市町村とともに立ち上げた「待機児童対策協議会」において、市町村域をまたがった施設の空き定員の活用等、広域で取り組むことが有効な事項について協議を行ってまいります。

先般、保護者に無償化の制度内容や手続き、実費負担について十分に周知されるよう、重ねて市町村に働きかけたところでありますが、引き続き円滑な実施が図られるよう、市町村を支援して参りたいと考えています。